写真：Impress Watch

　オタクコイン準備委員会は5月9日、「秋葉原UDX GALLERY」にて「オタクコイン構想発表会」を開催した。

【この記事に関する別の画像を見る】

　「オタクコイン」はアニメ・漫画・ゲームなどのカルチャーを対象にした「コミュニティ通貨」だという。ファンの意思をダイレクトに反映する「投票権」を持った新しい試みの通貨で、ファンが使いたくなる仮想通貨を創出することで、コミュニティを発展・活性化させ、世界中へ広げていくことを目指している。

　今話題のブロックチェーン技術を活用した事例で、また国内から誕生するコミュニティ通貨ということで報道陣の注目も非常に高かった。本イベントで発表されたオタクコインの構想についてレポートする。

■「オタクコイン」とは“オタク領域に特化したコミュニティ内コイン兼投票券”である

　Tokyo Otaku Mode Inc.のCEOであり、オタクコイン準備委員会の小高奈皇光氏よりオタクコインについての概要が発表された。

　「オタクコイン」とは一言で言うと“ブロックチェーン技術を活用したオタク領域に特化したコミュニティ内コイン兼投票券”だという。

　まずコインとしての機能だが、ECショップやリアル店舗で円の代わりに使用できるようにするという。小高氏は「例えばTポイントの経済圏を想像してもらえればわかりやすいかと思います」と話し、まずはTokyo Otaku Modeが運営するECサイトで日本円と同じように決済に利用できるようにする。そして将来的に使用できる店舗やサイトの数を増やしていき、オタクコインを使った経済圏を作ることを目標としている。

　もう1つが投票券としての機能だ。オタクコインを持っているユーザーには好きなプロジェクトに投票する権利を得ることができ、多くのユーザーから投票を得る（＝実現させたい）と思われたプロジェクトに対し、オタクコイン準備委員会からオタクコインが配布されるという。小高氏はこれを「ファンが応援したいアニメ・漫画・ゲームを実現する仕組み」と話す。

　今後の展開だが、まずは2018年の夏から秋にかけてAirDrop（無料配布）とBounty（報奨）として世界中のオタクユーザーに配布する予定で、2019年にプロジェクトのモデルケースと投票を開始していきたいという。将来的にはオフィシャルの動画サイトでのアニメ視聴やレビュー投稿などを行なうことでオタクコインを入手できるようにするなど、正規のオタク活動にインセンティブを付与する形にしていくという。

　また将来的にはユーザー間でオタクコインをやりとりしたり、仮想通貨取引所に上場しそこで売買される可能性もあると話した。

　オタクコインを今立ち上げる理由に関して小高氏はこう話す。「オタクコインを持ってもらったファンにオタク文化の未来を語ってもらいたい。熱量が多ければ多いほど、文化の寿命・熱量が比例していく」。オタク文化の発展につながる支持を集めたアニメ・漫画・ゲームのアイデアが実現する新しい仕組が「オタクコイン」の構想だ。

　また、この日登壇した慶應義塾大学SFC研究所 上席所員 斉藤賢爾氏と日本経済大学大学院エンターテイメントビジネス研究所 特任教授 数土直志氏からは「オタクコイン」が属する仮想通貨とブロックチェーン技術についての解説と、オタク文化の一部であるアニメ業界の現況と課題が語られた。

【仮想通貨・ブロックチェーン技術について】
【アニメ事情の変化とアニメビジネスの課題】

　「オタクコイン」が目指す、ファンが応援したいプロジェクトに投票し、投票結果に応じてプロジェクトが実現していくというのは非常に面白い試みである。パッと思いつくゲーマー的な視点で言えば資金力はないものの面白いアイデアを持っている開発者に投票することで開発をサポートできるというものがある。

　投機的な視点で語られる事が多い仮想通貨だが、使い方次第では様々な可能性を持っていることがわかる。オタクコインがゲームを含めた広義のオタクコミュニティを発展させてくれることに期待したい。